サッカーボールと先輩とアタシ
決勝戦の後に―旬磨―
「おい…。」
万桜は走り出していた。
カバンも放り出し。
そして、抱き合っている。
実際に目の前の光景が、まるでドラマでも見ているかのような、不思議な空気が流れていた。
あいつが…潤??
どうしてここに??
ただただ理解出来ないまま、俺は小さな万桜の背中を見つめている。
優しく背中に回した手が、万桜を包み込んでいる。
何なんだ??
どうなって、いるんだ??
やっと体を離し、何か話している。
その万桜の横顔が幸せそうで………固く拳を握った。
そして俺達に顔を向け、二人でこっちに向って歩いて来た。
ヒロは万桜のカバンを拾う。
何も言わずに。