サッカーボールと先輩とアタシ
前に進む―ヒロ―
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昨日も万桜からの連絡はない。
イラついてるな、俺。
今日は学校、来てるかな??
そればかりが気になる。
旬磨も不機嫌が顔に出ているし。
あの彼氏とヨリを戻したのかな……。
もうサッカー部にも来ないのかな。
そんな事ばかり考えてしまう。
「ね~ヒロ、国立まで応援行くからね~。」
クラスの女達に、いつものように囲まれながら、俺の心は違うところにあった。
「ねぇ、ヒロったら!!」
「あ、ああ…。」
万桜が幸せなら、それでいいはずなのに。
あんなに想っていたヤツと、また気持ちが通じ合うならそれで。
でも俺が幸せにしたい。
側にいて、いつも万桜の笑った顔を見ていたい。
こんなに欲張りだったんだ、俺。