サッカーボールと先輩とアタシ
前に進む
いつもの風景が今日は違って見える。
どうしてかな??
右側に旬磨先輩、左側にヒロ先輩。
何も変わらない、変わっていないのに。
話さなきゃ、潤くんとの事。
先輩達も心配してくれているのがよく分る。
いつもの帰り道。
「あ…のさ、万桜。日曜あれから――。」
ヒロ先輩が口を開いたが、アタシはそれを遮るように言った。
「先輩、アタシね。」
先輩達の間から2、3歩先に出て、くるりと方向を変える。
正面にいる先輩達は足を止め、アタシの顔を覗き込むように見つめている。
ドキドキ、ドキドキしている。
「フラられちゃったん、です。きちんと。」
………言えた。
「えっ…。」
二人共、ほぼ同時に声を出した。
アタシはまた進行方向を向き、歩き出した。
先輩達の足音が付いて来る。
「潤くん、大学の見学に来たみたいで、ついでにアタシに会いに来て…。
さよなら言いに来たんです。」
もう泣かない。
そう決めた。
曖昧だった関係が終わった。
潤くんの口から別れの言葉を言われたのはショックだったけど、彼はきちんと気持ちを伝えてくれた。
先輩達は何も言う事なく、その足音だけが響いていた。