サッカーボールと先輩とアタシ
「…そう…か…。」
先に口を開いたのは、ヒロ先輩。
もうそこに、女子寮が見えている。
「アタシ、大丈夫です!!」
先輩達は、落ち着かない様子で頭を掻いたり、ポケットに手を入れたり出したりしている。
「大丈夫、って口癖だな。」
旬磨先輩が呟いた。
「ははは…。」
「…無理するなよ。
俺達は変わらないから。今までも、これからも。」
胸がギュッと締め付けられた。
ヒロ先輩の言葉は、いつもアタシの背中を押してくれた。
「アタシ、きちんと向き合います。」
そう言って考えた気持ちを伝え、いつものように先輩達と別れた。
寮の玄関を開ける前に振り向くと、そこにはまだ先輩達の影があった。