サッカーボールと先輩とアタシ
前に進む―旬磨―
「俺達、やっと……ライバルだな。」
ヒロは頷く。
これで…良かったんだよな。
万桜の悲しみは痛いほど、伝わってきた。
やっと会えた、と思った相手にさよならを言われ、どんなに悲しかっただろう。
でも、万桜は前に進もうとしている。
俺が支えになりたい。
「あ、ダウン忘れた!!」
思い出したようにヒロが叫ぶ。
「明日でもいいか!!」
俺はヒロのように、寒そうにしていた万桜にダウンを掛けてあげるなんて出来ない。
優しい言葉も思い浮ばない。
万桜を好きになってから、ヒロが羨ましくなる。
でも、俺は俺の愛し方で万桜を幸せにしてやりたい。
「頑張ろうな、全国大会!!」
気合いを自分に入れるように、俺は言った。