サッカーボールと先輩とアタシ
全国大会への出場が決まってから、サッカー部のギャラリーが確実に増えていた。
今まで応援していた女子生徒も、パワーアップしているみたい。
部員のみんなは大喜びだったが、約2名は関心がないようだ。
…そう、キャプテンと副キャプテン。
ったく、ウザい、なんて口癖のように言うんだから。
今日もたくさん見に来てくれるかな。
アタシはグランドへ向う。
やっぱり応援してもらった方が、やり甲斐があるよね。
学園の玄関を出ると、ヒロ先輩が短い階段の横の壁にピタリと張り付いている。
「??」
何…してるんだろ??
先輩は壁の向こうを気にしているよう。
「ヒロせん――。」
「しーー。」
アタシを捉えると声を遮る。
見ると口に人差し指をあて、こっちこっちと手招きする。
そして、後ろ見て、というように今度はそっちを親指で指す。
先輩の指示通り、壁の向こう側を覗くと人が二人見えた。
女の子はこちら側を向いていて、男の子は背中しか見えない。
あれ、サッカー部の練習着……旬磨先輩??
「アイツ、告られてる。」