サッカーボールと先輩とアタシ
「明日試合ないからといって、遅くまで起きてるなよ!!」
コーチが部屋から消えたとたん、みんなは『恋愛話』で盛り上がっていた。
試合は二日目だ。
明日は開会式だけで、軽いアップや他の試合を見学する。
誰の彼女は応援に来るとか、誰の彼女は来ないとか。
「で、マネージャーって彼氏いないの??」
え、そこでアタシに振る??
「いないですよー。」
みんなの視線が集まっている。
「え~じゃあ俺なんてどう??」
「どうしようかなー。」
アタシはふざけて答える。
「ほら、そうやって全然相手にしてくれないんだから!!」
笑い声が部屋中に起こる。
「ヒロに怒られるぞ~。」
「なんで俺??」
ベッドの上に座っていたヒロ先輩が体を少し前に出す。
「だって全然、女子と遊ばなくなったしなー。」
「旬磨だってなー、女に興味ないのかと思ってたのに、なぁ。」
一斉に旬磨先輩に視線が集まる。
「何言ってんだよ、お前ら!!」
本気で怒ってます…??
「ライバル多いなー、なぁ長浜!!」
え??
ええ??
アタシの隣りにいた長浜くんが下を向いた。