サッカーボールと先輩とアタシ
みんな楽しそうだな。
アタシはこの空気が心地よかった。
話は他の事に移っていた。
「阪下さん。」
隣りの長浜くんを見た。
「大丈夫??動きっぱなしだったけど疲れてない??」
「ありがとう、大丈夫だよ。」
長浜くんは優しい。
さっき一年生の何人かで、買い出しに行った。
一緒に行ったアタシの分の荷物を半分持ってくれた。
いつも長浜くんは雑用など、積極的に手伝ってくれる。
「さっきのは……。」
「??」
彼の言葉が途絶えた。
「…大会終わったら、どこか一緒に遊びに行かない??」
周りの声にかき消されそうな、小さな声で長浜くんはそう言った。
「えっ?!」
返事に困ってしまった。
いつも一生懸命な長浜くん。
クラス委員長として、信頼もある。
彼を悪く言う人なんていないほど。
「あの…。」
「か、考えておいて。」
彼はまた、下を向いてしまった。
「!!」
ポケットの中の携帯がブルブルと動いた。