サッカーボールと先輩とアタシ
俺の想い―旬磨―
「万桜、どうした?」
空を見上げていた。
「あっ…コン、ビニに…。」
俺に気が付くと、万桜は携帯をポケットに入れた。
「旬磨先輩はどうしたんですか??」
俺も万桜と同じようにガードレールに寄り掛かった。
「あ~なんかさ、部屋暑くて…。」
適当に言って誤魔化す。
本当は、部屋を出た万桜が気になって、追いかけて来た。
エレベーターが一階へ行ったのを確認して、俺も隣りのエレベーターに乗り込んだんだ。
「一緒に行くよ。迷ったら困るだろ。」
一人じゃ危ないだろ、って言えない俺。
「ありがとうございます。」
今日はやけに素直な返事が帰ってきた。
『アタシひとりで大丈夫です』じゃなかった。
コンビニまで徒歩一分。
俺達は並んで歩く。
「なぁ万桜…。」
「はいっ??」
俺を見る顔が可愛くて、愛しい。
視線を外した。
「大会終わったら、今度は二人でどこか…行かないか。」