サッカーボールと先輩とアタシ
再会
全国大会は、晴れの舞台にふさわしく快晴だ。
頑張ってきた、ここにいる全員をまるで称えているかのように。
「緊張するなぁ。」
珍しくヒロ先輩はそんな事を言う。
アタシ達は開会式の入場行進を待つばかりだった。
キャプテンとコーチは全チーム打ち合わせに行っている。
マネージャーは一緒に行進は出来ない。
一般のお客さんと観客席から見る事になっていた。
それまで、みんなと一緒にいる事にした。
咲を探したが、たくさんの人込みの中を探す事は出来なかった。
「…なんか面白い話してよ。」
ふふっ、本当に緊張してる。
面白い話し…??
「そういえばアタシ…長浜くんにデートに誘われてちゃいました。」
「なに~!!長浜のヤロー!!」
突然ヒロ先輩は立ち上がった。
そこにいたみんながヒロ先輩に注目した。
「ちょ、ちょっとヒロ先輩。」
ヒロ先輩の手を取り、また座らせる。
「あいつ、いつの間に!!」
「ふふっ。」
さっきとは別人の先輩。
子供みたいでかわいい。
「で、なんて返事したんだよ。」
先輩はもういいって程、アタシの顔に近付いてくる。
「先輩近すぎです…。」
「あぁ、ごめん。」
恥ずかしそうに、また座り直す。