サッカーボールと先輩とアタシ


引きずられるように入り込んだその中は――――。

見事なまでに、真っ暗で。

ところどころ、懐中電灯やペンライトのような小さくて頼りない光があるだけ。

お化け屋敷なんて、小学生の時以来だ。

まだ子供だったから、目茶苦茶怖かった。

聞こえるうめき声。

急に出て来る何か…。

何が、って暗闇が一番怖い。

進む方向さえ、分からなくなる。

小学生のあの時は、怖さのあまり脱出した後しばらく立ち上がる事が出来なかった。

それが、トラウマになっていた――。

聞こえるお経の音がアタシの恐怖を倍増させた。

全部作り物だって、解っているのに。

「大丈夫か。
……そういえば…名前??」

顔をゆっくりと動かし、

「さ、阪下万桜(さかしたまお)…。」

やっとそう言う。


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