サッカーボールと先輩とアタシ
「国立で会えるなんて、最高のシチュエーションじゃない??」
誰かが言う。
ホント、そうかも。
「万桜ちゃんが転校して、マネージャー達いっぱいいっぱいだよ。」
「万桜ちゃん、一番よく動いてたもんな。」
他のマネージャーは『菜々マネージャー』のように名前プラスマネージャーだか、アタシの場合『万桜マネージャー』は呼びにくいので、みんな名前で呼んでくれていた。
「何??何??マネージャーの前の学校だって!!」
聖茄のメンバーも集まって来た。
なぜか『お互い頑張りましょう』とか握手をはじめる。
コーチ達も『初めまして』と挨拶をしていた。
「おお、阪下頑張ってるな。」
東高校のコーチはもう50歳近いおじさんだが、厳しいコーチだ。
でも、一歩サッカーを離れたら優しい数学の先生。
「田口コーチもお元気そうで。」
お父さんみたいなコーチが大好きだった。
「お互い悔いの残らないように、な。」
田口コーチはアタシの肩をポンポンと叩く。
「はい、ありがとうございます。」
その時だった。
「ベンチに入っていないヤツらも会いたがってたよ。」
潤くんだった。
この前会ったばかりなのに、感じか違って見えた。
アタシの気持ちが変わったからだろうか??
「はい…。」
普通に…話せた。
普通に潤くんが話し掛けてくれた。