サッカーボールと先輩とアタシ
アタシ達は練習前の昼食まで試合見学をする。
「行くぞ~。」
旬磨先輩が手を上げて、みんなを誘導する。
アタシはヒロ先輩に近付き、
「あの…先に行っていて下さい。後から追いかけます。」
と伝えた。
「…あ、あぁ。」
不思議そうな顔をしたヒロ先輩。
東高校も、打ち合わせが終わったのか、バラバラに散っていた。
近くのベンチに座った。
潤くんはマネージャー達と話しをしていた。
ぼんやりとそれを見つめるアタシ。
「万桜ちゃん。」
隣りに座ったのは、ゴールキーパーの悟志(さとし)先輩だった。
「悟志先輩!!」
潤くんの親友で、アタシのいつも相談にのってくれていた。
「元気そうで安心した。」
先輩はそっとアタシにペットボトルのコーヒーを渡す。
「好きだったろ、それ。」
「覚えてくれていたんですか??」
驚いた。
「いつも飲んでたし。」
先輩は笑う。
「アイツ、バカだよな。」
そっと呟いた。