サッカーボールと先輩とアタシ
「……。」
「もう、大丈夫か??」
心配してくれていたんだ。
いつも優しかった悟志先輩。
「俺もアイツがこんな答え出すとは思わなかったよ。」
「……。」
「初めて聞いた時、殴ってやろうかと思った。」
先輩は拳を握り、力を込めた。
「大丈夫ですよ、アタシ。」
笑顔を作った。
「潤の方が弱かったんだな……。
俺が、お前の代わりに万桜ちゃんを守る、って言っても何にも言わなかった。」
先輩は足を伸ばした。
そんなにアタシの事、心配してくれていたんだ。
「ありがとうございます。」
精一杯の言葉。
他に言葉が浮ばない。
「万桜。」
潤くんが、来た。
「じゃ先に行ってるわ。」
「俺もすぐ行くよ。」
潤くんは入れ替わるように隣りに座った。