サッカーボールと先輩とアタシ
意外な展開
「何話してたの??」
「う~ん、色々かな。」
隣りにいる潤くんに、今までのような感情が湧いてこない。
「アイツに…告られたとか??」
いきなり変な事を言い出す。
「何言ってるの??そんな事ないよ。」
ケラケラと笑った。
「悟志の気持ち、知らなかった??」
至って潤くんの顔は真面目だ。
えっ、うそっ。
本当に??
「悟志、俺に何も言わないけど見てたら分かるし。
万桜と別れる、って言ったらマジで殴られるかと思った。」
心臓が早くなる。
悟志先輩がアタシの事……。
今までいっぱい遊びに行ったり、相談にのってもらったり。
アタシのバカ!!
知らなかったじゃ済まされないかも。
額に手を当て考えた。
いろんな事を。
「今日の試合、応援してくれるだろ…。勝ったら…勝つつもりだけど、俺に、アイツらに会いに来てくれないか。」
潤くんは紙を差し出した。
受け取って開くと、ホテルの住所と手書きの地図が書いてあった。
「みんな万桜に会いたがってるから。」
「でも、アタシもうマネージャーじゃないよ。」
そして潤くんの彼女でもない。
「誰もそんな事気にしないよ。会える所にいるのに会えない方が可哀相だろ。」
「うん…。」
来年また会えるとは限らない。
最後のチャンスかもしれない。
みんなに会いたい気持ちは大きかった。
「じゃあそろそろ行くね。」
立ち上がる。
「万桜!!」
潤くんは座ったまま、アタシの手を掴む。