サッカーボールと先輩とアタシ
「だから別れを決めたけど…。」
繋がれていない右手で目の辺りを覆う。
泣いているのかと思うほどだった。
「ごめんな、万桜。辛い思いさせて。でも、やっと分かったんだ。」
「待ってよ潤くん。」
潤くんは泣いてはいなかった。
「答えが欲しいんだ。もう、辛い思いさせないから…。」
固い決心が、表情に出ていた。
心の底からの気持ちだと分かった。
「愛してる。
今度は俺がこっちに来るまで、万桜が待っててくれないか。」
――時間が、止まった。