サッカーボールと先輩とアタシ
そろそろと一歩後から付いて行く。
いつの間にかアタシが先輩の手首を掴んでいで。
一歩一歩、足を引きずるように進む。
分かってる、そこから何か出て来る―――。
「ひゃぁぁぁー。」
壁からたくさんの手、手、手!!!!
しがみついた先は、多分その人。
「…マジ怖いの??」
彼の言葉にアタシは頭をブンブンと振る。
いや、正直に怖いって言っていいはずなのに、何故かアタシは否定の動きをしてしまった。
「ちゃんと掴まってな。」
ふっと笑い声と共に差し出された彼の左腕を両腕でがっちりと掴み、目を閉じその腕にすがるように。
もうこうなったら、目をつぶったまま出口まで行くしかない!!
彼の動きに合わせ、恐る恐るまた足を進める。
何で…アタシがこんな目に……。
見ず知らずの先輩と、超苦手なお化け屋敷に………。