サッカーボールと先輩とアタシ


…予想通りだ。

中へ入ってき来た万桜はキョロキョロと周りを見回す。

観客席まで行く階段を探しているのだろう。

俺達にも、気付かない。

そして不安そうな表情になる。

ったく。

「万桜!!」

俺は手を上げ立ち上がる。

振り向いて、目がなくなる程の笑顔を見せた。

「こっち、行こうか。」

駆け寄ってきた万桜にヒロがそう言った。

「待っててくれたんですか??」

手には、さっきアイツから渡された紙が握られている。

ずっと見ていた事、気付いてないだろう。

「万桜一人じゃ、辿り着けないと思って。」

「もー旬磨先輩!!アタシを子供みたいに!!」

怒った顔をわざとして見せた。

何話してたんだ??

俺もヒロも聞けずにいた。

聞こえる歓声が、また大きくなる。

どちらかのチームに点が入ったのだろう。

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