サッカーボールと先輩とアタシ
気が付くと、着信があった。
ヒロ先輩からだった。
やばっ、忘れてた。
急いで電話をかける。
「万桜??良かったな!!
俺達さっきの自販機のとこにいるから。」
「分かりました。」
「大丈夫??ここまで来れるか??」
不安はあったが、行きますと伝えて電話を切った。
東高校のメンバーは、帰る準備を始めている。
「アタシ、戻るね。また電話するから。」
咲にそう言って、階段を下りる。
潤くん、勝ったら泊っているホテルまで来てって言っていた。
あんな告白されて…どうしよう。
「遅い!!」
腕組みをしながら、そう言ったのは旬磨先輩だった。
「すみません…。」
どうやらアタシ、遠回りして辿り着いたみたい。
「怒るなよ、無事に辿り着けたんだし。」
なだめるヒロ先輩。
「また迷ったのか??」
「いえ、あの…遠回りしちゃったみたいで。」
「まあいいか。帰りはタクシーだぞ。」
タクシーの中は、先輩達も見ていた東高校の試合の話ばかりだった。
……アタシは迷っていた。