サッカーボールと先輩とアタシ
出口まではオソロシク長かった。
ガタン、と何かの音。
女の人の悲鳴。
とにかく、色んなアクションがあったみたい(アタシは目をつぶっていたけど…)が恐怖は増す。
その度に少なからず、体も反応した。
「もう出口だから。」
その言葉が天使の囁きにも聞こえた。
やっと目を開くと、そこは眩しいくらいに明るい。
そこから出てもまだ心臓がドキドキしていた。
「大丈夫か??」
その声でハッ、と我にかえり慌てて腕を離す。
「だ…大丈夫です。」
全然大丈夫じゃない、けど。
「あの…アタシ、もう行ってもいいですか…。」
動揺を隠すように小さく頭を下げ、すぐ横にある階段へ向かう。
向かう予定の調理室は確か4階。
おぼつかない足取りで階段を上がろと足を踏み出した時――。
アタシの周りがグニャッとなった。
「あっ…。」