サッカーボールと先輩とアタシ


万桜は一人でも帰れる、と言ったが、

「いいよ、送ってくよ。」

と、先に歩き出した。

後から付いて来る万桜。

俺の足ばかり心配している。

「万桜の方向音痴の方が心配。」

俺が言うと、

「もう~。」

と怒った顔をする。

「こっち来てから、色んなトコ遊びに行った??」

こっちでの話しは聞いてあまり聞いていなかった。

「うん!!近くばっかりだけど、ね。」

「ふうーん、友達と??」

わざと、聞いてみる。

「亜子と、かな。一番の仲良しなの。」

「そうか。その子に迷惑かけてないか??」

「ははは…。どうかな??」

万桜が泊っているホテルが見えてきた。

「…ごめんな、万桜。
…俺、勝手な事ばかり言ってるな。」

「………。」

それ以上、何も言わない。

「男の俺の方が未練がましいなんて…。」

やっぱり万桜は何も言わなかった。

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