サッカーボールと先輩とアタシ
…違う。
違う。
両手で思わず旬磨先輩の体を押してしまった。
「ごめんなさい、アタシ…。」
「………。」
何も言わなかった。
うつむいているアタシは、今先輩がどんな顔をしているか、わからない。
そしてそっと体の向きを変えた。
変に思われたかな。
気分悪くさせたかな。
アタシから抱き付いたのに、突き飛ばすかたちになって、どう思ったかな。
「…また明日な、万桜。いつでも俺、話し聞いてやるからな…。おやすみ…。」
そのまま先輩は部屋を出た。