サッカーボールと先輩とアタシ
キャプテン達2年生を中心に、メンバーは盛り上がる。
箸も黙々と進む。
…なんだか体が熱い。
疲れちゃったかな??
そういえば、お昼くらいから頭痛がしていた。
フラフラしてきた…。
帰ろうかな…。
席を立ち上がろうとするが、上手く体に力が入らない。
この状態なら、ここにいても何も役に立たない…迷惑掛ける前に、やっぱりホテルに戻ろう。
…誰かに言ってから帰らなきゃ。
コーチはご両親達と、もう出来上がっているのか真っ赤な顔でビールを飲んでいる。
キャプテンは…。
これまた、メンバーやお父さん達に囲まれ、サッカーについて熱く語っている。
アタシがそこに割って入る雰囲気ではない…。
「マネージャーどうかした??」
トイレでも行っていたのか、長浜くんが貸し切りのこの部屋に入って来た。
「あのね…、長浜くん。アタシ…先に帰るね。」
「え??」
「何だかちょっと疲れたみたいだから、ホテルに戻るね。」
心配そうにアタシの顔を覗き込む。
「それから…。」
伝えなきゃならない事がある。
「あの…アタシ…想ってる人いるの。だから長浜くんと…その…一緒に…。」
「あ~そう、か。」
笑い顔が寂しく見えた。
「ありがとう、きちんと答えてくれて。阪下さん律義(りちぎ)だな。好きな人いるんなら、適当に聞き流してくれても良かったのに。」
そして優しい笑顔になった。