サッカーボールと先輩とアタシ


キャプテン達2年生を中心に、メンバーは盛り上がる。

箸も黙々と進む。

…なんだか体が熱い。

疲れちゃったかな??

そういえば、お昼くらいから頭痛がしていた。

フラフラしてきた…。

帰ろうかな…。

席を立ち上がろうとするが、上手く体に力が入らない。

この状態なら、ここにいても何も役に立たない…迷惑掛ける前に、やっぱりホテルに戻ろう。

…誰かに言ってから帰らなきゃ。

コーチはご両親達と、もう出来上がっているのか真っ赤な顔でビールを飲んでいる。

キャプテンは…。

これまた、メンバーやお父さん達に囲まれ、サッカーについて熱く語っている。

アタシがそこに割って入る雰囲気ではない…。

「マネージャーどうかした??」

トイレでも行っていたのか、長浜くんが貸し切りのこの部屋に入って来た。

「あのね…、長浜くん。アタシ…先に帰るね。」

「え??」

「何だかちょっと疲れたみたいだから、ホテルに戻るね。」

心配そうにアタシの顔を覗き込む。

「それから…。」

伝えなきゃならない事がある。

「あの…アタシ…想ってる人いるの。だから長浜くんと…その…一緒に…。」

「あ~そう、か。」

笑い顔が寂しく見えた。

「ありがとう、きちんと答えてくれて。阪下さん律義(りちぎ)だな。好きな人いるんなら、適当に聞き流してくれても良かったのに。」

そして優しい笑顔になった。

< 223 / 239 >

この作品をシェア

pagetop