サッカーボールと先輩とアタシ
「マネージャーの部屋は立ち入り禁止だけど、緊急事態だから入るよ。」
ドアを閉めると、アタシの肩に手を回し支えるように、ベッドまで連れて行ってくれる。
「…どんな感じ??」
ダウンを脱がせ、横になるように言う。
恥ずかしさと具合の悪さで、アタシはそのまま鼻まで布団を被る。
「…頭痛くて、寒気が、して…。」
でもヒロ先輩が来てくれた。
「薬は??飲んだ??」
「…飲んでません…。」
「買って来るよ。いや、病院行こうか。コーチに電話する。」
携帯を取り出したが、
「コーチ、酒飲んでたか…。」
と、またポケットへしまいこんだ。
「…明日になったら、良くなりますから。先輩、戻って下さい。」
本当は来てくれて嬉しいのに。
「気にするなって。ちょっと救急箱見て来るな。」
…優しい先輩。
その優しさが心に染みた。
「あった、風邪薬でいいかな。ほら、冷却シートも。」
…あぁ、そうだった。
一応、買ってあった。
誰か風邪引いたら、って考えて。
…まさか、アタシが使う事になるなんて。
先輩はアタシを起き上がらせて、薬を飲ませてくれる。
そしてオデコにシート。