サッカーボールと先輩とアタシ
一緒の夜―ヒロ―
「働きすぎだなマネジャーは。」
かなり具合が悪いのか、万桜は返事をしない。
可哀相に。
顔は真っ青だ。
俺は横になっている万桜の手を握る。
オデコは熱いのに、手は氷のように冷たい。
大丈夫…かな。
無理してたのかな。
この短期間で、色んな事あったからな。
環境が変わり、恋人と別れた。
そして俺達と出合った。
「寒くない??」
「…はい…。」
「眠るまでここにいるから。」
万桜は目を閉じた。
髪を撫でる。
具合悪い時、一人じゃ不安だよな。
俺も経験あるよ。
寮生活じゃ、仕方ないけど。
狭い部屋に二人きり。
万桜の具合が悪くなかったら、俺我慢できずに襲ってるかも。
スースーと静かな寝息が聞こえてきた。
早く元気になるといい。
いつもの万桜に。
安心しきって眠るその顔が、子供のようにあどけなく見えた。