サッカーボールと先輩とアタシ
サヨナラ
先輩の長い指がアタシの髪をかき上げた。
ヒロ先輩…ありがとう。
本当に嬉しかった。
…側にいてくれた。
先輩はベッドに腰を下ろし、今度は頭を撫でる。
まだ体はだるいが、頭はスッキリとしていた。
「俺、部屋に戻るから。朝ご飯ちゃんと食べて、また薬飲めよ。」
「先輩…。」
立ち上がる瞬間、ヒロ先輩の腕を掴む。
無意識に…ううん、感謝と離れたくない気持ちと…。
「万桜…??」
驚いた顔をちょっと覗かせ、しょうがないな、とまたベッドに腰掛けフワリと抱き締めてくれた。
ヒロ先輩の匂い、大きい背中。
その背中に手を回し、ギュッとしがみついた。
…好き。
もっと、もっと手に想いを込めて。
「…ヒロ先輩…。」
「うん。大丈夫だよ。」
頭の上から声がした。
背の高い先輩。
優しい先輩。
大好き。
「俺が風邪引いたら、今度は万桜が看病してくれる??」
先輩から離れ、顔を見た。
穏やかに笑う、大好きな人。
「もちろんです。」
じゃあまた後で、と先輩は部屋を出た。
手に残る温もり。
伝わる想い。
アタシやっぱり、ヒロ先輩が好き。
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