サッカーボールと先輩とアタシ
アタシはバスに揺られている。
隣りには咲。
「ねぇ、万桜に告ったのってあの二人でしょ。」
旬磨先輩は心配していた。
アタシが空港まで見送りに行きたい、と言ったからだ。
「空港なんて、万桜にとったら出口のない迷路だろ!!」
それって…すごい表現。
確かに空港は、みんな同じような内装や造りで苦手だ。
でも試合後、すぐに東高校のサッカー部が帰ってしまうと聞いて勇気を出した。
みんなを見送ってあげたい。
そしてきちんと潤くんに気持ち伝えなきゃ。
東高校のコーチのはからいで、空港まで貸し切りバスに便乗させてもらえる。
「…またしばらく会えないんだから、行っておいで。
でも、大丈夫か??」
離れるのが辛くなるとヒロ先輩も心配する。
「大丈夫です!!」
アタシが乗ったバスを笑顔で送り出してくれた。