サッカーボールと先輩とアタシ
いつも10番のユニホームを見ていた。
優しい潤くん。
大人な潤くん。
中学2年生の時に付き合い初めてから、アタシの中は潤くんばかりだった。
「キャ~!!」
声援が一段と大きくなった。
シュートが決まったみたい。
違う、あの人は潤くんじゃない。
声が似ていても、10番を背負っていて
も潤くんじゃないんだ。
「亜子ちゃん、アタシ先に教室戻ってるね。」
アタシはグランドに背を向けた。