サッカーボールと先輩とアタシ







書店に寄り、アタシ達はデパートの中のファーストフード店にいる。

先輩達は、ハンバーガー2個、ポテト、ドリンク、サラダ。

すごい量!

『育ち盛りは腹が減る』とか言って、潤くんもたくさん食べてたっけ。

アタシもお腹が空いていたが、彼等の前で大きな口を開けてハンバーガーを食べれそうにない。

熱いコーヒーを頼んだ。

「あのさ…、さっきの話しだけど。」

「??」

「マネージャーの。」

ああ、その事…。

「頼めない、かな。」

ハンバーガーに手も付けず、旬磨先輩は言う。

「申し訳ないですけど…アタシ…。」

考えてもなかった。

新しい学園で、またサッカー部のマネージャーなんて。

潤くんがいないサッカー部のマネジャーなんて、全然考えてもいなかった。

サッカーから離れて忘れたかった、早く潤くんの事。

「なんとか、さ。」

旬磨先輩は複雑な表情。

「なぁ、ヒロ。」

「1年をマネージャー登録してるけど、スコアつける事出来なくてさ。結局、毎回コーチが付けてて。で、指示出したり、スコア付けたりで、いっぱいいっぱいで。」

宏慶先輩が補充する。

コーチって、確か福山先生。

確かにそれは、酷だよね。

「だから、さぁ。」

旬磨先輩の一生懸命さ、というか情熱のようなものが伝わる。

この人、きっとサッカー大好きなんだ。

アタシは口を開く。

「…じゃあ、次の大会だけ。スコア付けるだけで…いいですか。」





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