サッカーボールと先輩とアタシ


夜になって、コンビニへ出掛ける。

シャンプー買わなきゃ。

外は少し肌寒い。

O県より、秋が来るのが早い感じがした。

コンビニ帰りに、寮の道路を挟んで向かい側にある公園に寄り道する。

荷物を置き、ブランコに座ってみる。

足が引っ掛かり、子供の時のように上手く動かせない。

「はぁー。」

…なんでため息出るんだろう。

「ま、お…ちゃん??」

顔を上げると、そこには…ヒロ先輩が立っていた。

ジャージ姿で、息が上がっている。

「あ、こんばんは。」

アタシはブランコに座ったまま頭を下げる。

「こんばんは。やっぱサッカー部は挨拶が完璧だね!!」

ヒロ先輩はまだ肩を上下させながら、隣のブランコに腰を下ろす。

長い足がアタシより伸びている。

「散歩??」

首から下げていたタオルで汗を拭く。

「コンビニの、帰りです。」

「そうなんだ。」

先輩の息が整ってきた。

「ヒロ…先輩は??」

「俺??走ってたの。今日練習なかったし。」

爽やかな笑顔。

「…昨日、ありがとね。」

先輩はブランコを前後に揺らす。

「………。」

「何か考え事??
こんな時間に一人で??」

ヒロ先輩を見ると、正面を向いたままだった。

「昨日アタシ…旬磨先輩に酷い事…言っちゃって…。」

「そう…なんだ。」


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