サッカーボールと先輩とアタシ
玄関を出た所で、旬磨先輩が立っていた。
「お疲れ…。」
柱にもたれ、練習着姿で。
顔を合わせにくいのは、お互いだった。
「あの…。」
謝らなきゃ、アタシ。
「コーチに聞いたよ。マネージャーやってくれるって。ありがとな。」
「……。」
「一緒に行こうか。」
先輩は先に歩き出す。
「…旬磨先輩、この前はごめんなさい。ヒドイ事言ってしまって。本当に――。」
「いや、俺の方こそ一方的に押し付けて…。」
「いえ、あの…。」
「ヒロに聞いたよ。」
「………。」
「そいつの事忘れるまで待ってる、とか俺キレイ事言わないから。」
…旬磨先輩らしい。
なんでか、泣きそうになった。
「…ありがとう、ございます。」
「さ、行こうマネージャー。皆んな待ってる。」
グランドには、サッカー部の皆んなと、彼等を応援する女子生徒が待っていた。