サッカーボールと先輩とアタシ
それぞれの気持ち―ヒロ―
マネージャーがきて、サッカー部は活気づいていた。
それはそうだ、可愛い一年生だし。
サッカーの知識もあり、すぐに打ち解けていた。
彼女は、上級生に対してきちんとした敬語を使う。
ヤバイ、俺。
気が付くとマネージャーの姿を探していた。
まさか…な。
彼女の事…。
旬磨が好きになった子だぜ。
俺はシュートを狙う。
が見事、ゴールから外れた…。
「くっそ~!!」
「ヒロ先輩、今日調子悪いですか??」
一年が声を掛けてくる。
「そんなんじゃねえよ。」
俺は空を見上げた。
分かんねぇよ、自分の気持ち。
あの夜、泣くのをガマンしながら、元カレの話をしてくれた彼女。
いつもみたいに『俺が忘れさせてやるよ』なんて、冗談も言えなかった。
また、遠くを見つめてるマネージャー。
きっと、ここにいない誰かを探しているのかな。