サッカーボールと先輩とアタシ
それぞれの気持ち―亜子―
寮の前まで来ると、
「亜子ちゃん~!」
万桜ちゃんの声がした。
あ、旬磨先輩だ。
ヒロ先輩も…。
万桜ちゃん送ってもらってるんだ…。
私は胸がギュッと締め付けられた。
万桜ちゃんの事は大好きな友達だよ。
でも、私の目の前で旬磨先輩と仲良くしていると、嫉妬してしまう。
分かってる。
サッカー部のキャプテンとマネージャーだから…。
でも分からない。
どうして万桜ちゃんなの、旬磨先輩??
先輩がこんなに女の子と楽しそうに話すの、初めてみるよ。
「コンビニ行ってたの??」
ジャージ姿の万桜ちゃんはそう聞く。
「うん、そう。
…先輩達に送ってもらってるんだ。」
「あぁ…うん、近いから大丈夫って言っているんだけど。
ね、亜子ちゃん、明日の試合応援来てくれるよね??」
その言葉が、私に火を付けた。
「…来てくれる??ってもうすっかりマネージャー気取りだね。」
こんな事、言うつもりじゃないのに。
「えっ…。」
万桜ちゃんは驚いている。
もう止められない。