しかくかんけい!

特別な感情



■■ そらside ■■




暑い。


まだ7月になったばかりだと言うのに、すでに猛暑日が続いていた。

外はこんなに暑いけれど、やはり昼休みはここで過ごす。


ひと気のない裏庭の芝生、青々しい樹木の下。

ちょうどいい感じに傾斜になっていて、まさに寝そべるためにこうなっているようだ。

目を閉じれば聞こえてくる、やかましい蝉の声、遠くの楽しそうな会話、微かに体育館シューズの摩擦音。

ああ、落ち着く。


「ふわ……」


ひとつあくびをこぼし、クラスのあの子のことを考える。


最初の印象はいつもへらっとしていて、人を和ませる雰囲気があるな、といった感じ。

本人はあまり自覚がないらしく、いわゆる天然を嫌う一定層からはよく思われていないようだ。

それを裏付ける瞬間を、2か月ほど前に目撃した。

その日も、今日みたいにこうやって木陰でうたた寝していたときのこと────……



< 100 / 433 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop