しかくかんけい!
……────5月。
まだ春の香りを残した風がそよぎ、樹木の葉をサラサラと揺らす。
葉の隙間から見えるグレーの空は、もうすぐ雨が降りそうだ。
雨なら仕方ない、と教室へ戻ろうと身体を起こし立ち上がった、
その時。
「今すぐ別れな!」
急に大声がして、反射的に静止する。
声がした方をそっと覗けば、見覚えのある女子たちが何やらわめいていた。
そこにいる女子全員、たぶん同じクラスだった気がする。
ソロコンだか合コンだか聞こえて、まあとにかくしょーくんというやつが原因で喧嘩しているみたいだ。
くだらねえと思い、踵を返しそのまま反対の方から教室へ戻ろうとした、はずだった。
「そーれーにー、あんたのお友達のアイリちゃん、しょーくんのこと気になってるんだってうわさ流れてるの知らないわけ?」
やたらでかい声のせいで、思わず足を止める。
愛莉?
確かに今、ここにはいないはずの愛莉の名前が出てきた。