しかくかんけい!
眉間にしわを寄せ、
唇をぎゅっと噛みしめて、
愕然と立ち尽くしている。
とても苦しい、悔しい。
そんな感情が、もろに出ている、顔。
教室ではいつも花のように笑っている姿しか見たことなかったから、
ああ、こんな表情もするんだ、
と珍しく思った。
このときは、女子っていろいろ大変そうだな、なんて他人事のように思っていた。
その後はテストもあったし塾で忙しかったから、特に気にすることなく時間は過ぎた。
ある日、愛莉にソロコンに行こうと誘われた。
そういえばその件で揉めていたあの子のことを思い出す。
「コンクールか……」
ソロコンって吹奏楽のコンクールのことだったのか。
あの子は吹奏楽部で、愛莉と同じフルートという楽器をやっているそうだ。
音楽はあまり詳しくないけれど、せっかくだからこの際に少し学んでみようか。
それに、あの子がソロコンに出るということに興味が湧いた。