しかくかんけい!


ソロコンに行ってみると、開幕と同時に会場は緊張感に包まれる。


愛莉によると3年生にとっては推薦がかかっているから、本気の戦いになるらしい。

下級生もその波に呑まれ、緊張が伝染していくようだ。


そんな中、あの子は3番目に舞台へ上がった。

苦しそうな顔をしたあの日とはまるで別人のように、堂々と立っていた。


銀色に輝くフルートへ口づけし、

伏し目がちな姿勢で、器用に指が動く。


体が揺れるたび、

鎖骨辺りまでのさらさらな髪も揺れる。


弾むような明るい曲調に、聴き惚れる。


芯のある音、というのだろうか。

上手い下手なんて全くわからないけれど、
とにかくどこまでもまっすぐで、
純粋で、素直。


見えた。

汚れのない、純白。


そんな音が、見えた。


美しいと、思った。





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