しかくかんけい!


「ありがとっ。これね、愛莉と一緒に浴衣買いに行ったとき見つけて、一目惚れしちゃったんだ〜」


そうなんだ、とそらくんが言って、また沈黙になる。


カランカランとくじの大当たりの音がして、

ドンドンと太鼓の音が遠くで聞こえて、

ざわざわと人の話し声が飛び交う。


ぼーっと夏を感じていた。



「俺、見ちゃったんだけどさ」


またそらくんが沈黙を破った。


「え、何を?」

「5月だったかな。昼休み、裏庭でハナがクラスの女子たちに何か言われてたやつ」

「え……」


もしかして、リーダー女子に囲まれてたあのときのこと?

あれ見られちゃったの!?

はたから見たら修羅場だったような気が…。


ギクッとしてそらくんを凝視する。

その目はもう全部知っているようだった。


「愛莉ってあいつが好きなのか?」


そう発せられたそらくんは、ふたりが行った方向を見つめる。


その言葉に、胸がぎゅうっと締め付けられたような気がした。



< 121 / 433 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop