しかくかんけい!
「ありがとっ。これね、愛莉と一緒に浴衣買いに行ったとき見つけて、一目惚れしちゃったんだ〜」
そうなんだ、とそらくんが言って、また沈黙になる。
カランカランとくじの大当たりの音がして、
ドンドンと太鼓の音が遠くで聞こえて、
ざわざわと人の話し声が飛び交う。
ぼーっと夏を感じていた。
「俺、見ちゃったんだけどさ」
またそらくんが沈黙を破った。
「え、何を?」
「5月だったかな。昼休み、裏庭でハナがクラスの女子たちに何か言われてたやつ」
「え……」
もしかして、リーダー女子に囲まれてたあのときのこと?
あれ見られちゃったの!?
はたから見たら修羅場だったような気が…。
ギクッとしてそらくんを凝視する。
その目はもう全部知っているようだった。
「愛莉ってあいつが好きなのか?」
そう発せられたそらくんは、ふたりが行った方向を見つめる。
その言葉に、胸がぎゅうっと締め付けられたような気がした。