しかくかんけい!

そっと近づいて、すみませーん、と声をかける。


「よかったらこれ、どうぞ」


母親らしき人が、え?という顔でこちらを見上げる。

私はかがみ込んで、すすり泣く女の子へ笑いかけた。


「泣いてちゃかわいいお顔が台無しだよ?ほら、笑って」


できるだけ柔らかく話して、新しいシャボン玉液の入った容器を、どうぞ、と差し出した。

女の子は一瞬びっくりしたけど、すぐに目をごしごしこすって小さな手で受け取った。


「ありがとう!」


うれしそうな満面の笑みを見て、私もうれしくなって、ニッコリ笑った。

母親が、本当にすみません、とペコペコするから、とんでもないですよ〜と立ち上がりながら答えた。

お子さん元気ですね〜なんて話して、少しだけ母親と談笑した。



「ハナ!」


後ろから名前を呼ばれ、はっと振り返るとしょーくんがこちらへ駆け寄ってくる。


「あっ、行かなきゃ」


母親と女の子にじゃあね〜と手を振り、私もしょーくんの方へ小走りした。


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