しかくかんけい!
さっきも思ったけど、浴衣ってほんっと走りにくいなーもう!
と心の中で悪態をついた瞬間。
「きゃっ!」
何かにつまずき、バランスを崩す。
「おっと」
反射的に飛び込んだ、しょーくんの胸。
厚くて、暑くて、熱い。
硬くて、たくましい、男の、カラダ。
思わずぱっと離れる。
変に意識しちゃって、
うまく顔が見れなくて、
俯きがちに言う。
「ご、ごめんッ」
「や、ごめんじゃねーよ」
「え?」
いらついたような、低い声。
「ったく、ほんっと危なっかしーな」
「お、怒ってる?」
「怒ってるってゆーか……はあ、もういいよ」
「だ、だって、ほっとけないじゃんっ」
眉を下げて、はあーっ、と深いため息をついたしょーくんは、すっと手を差し伸べた。
「ほら」
「……?」
意味がわからなくて首を傾げると、チッと舌打ちして私の手首をがしっと掴む。
浴衣の袖がふわっと揺れた。