しかくかんけい!
「そんな顔されるともっといじめたくなる」
今にも襲いかかってきそうな獣のような君に、今の私は、何も、抵抗、できない。
ジャリ、と、一歩 近づいたのは、君。
「ねえ」
すっと腕が動く。
私の顎に、触れる。
びく、と肩が震えた。
冷たい、指先。
「嫌なら嫌って、言わないとさぁ、」
近づく。
綺麗な顔が、近づく。
「犯すよ?」
唇を、ぬるりと、なぞる、指先。
その感触に、私の警鐘が、激しく鳴る。
危険。
「……いや、だっ……」
言った。
頼りない声だった。
でもちゃんと、君の耳に届いたようだ。
「へえ」
少し驚いたような顔になって、次にまばたきしてみれば、獣はいなくなった。
「初めてだよ」
「……、」
なにが?と聞こうとしたのに、のどの奥がぴったり張り付いて、開口さえできない。
だって、だって。
私を見つめる君の目と、
君を見つめる私の目。
その、目の奥に、
とても寂しそうな、影。