しかくかんけい!
ヒューー…、と、昇り曲。
瞬間、どーん、と爆発音。
その音ではっと我にかえった君は、
さっと離れて、顔を上げる。
どん、どん、どん。
心臓の音か、花火の音か、
すぐに区別がつかなかった。
遠くで歓声が聞こえた。
「綺麗……」
夜空いっぱいに色とりどりの華が飛び散って、パラパラと音を立てながら落ちてゆく。
「そのまんまだよ」
「え?」
爆発音に巻き込まれてしまいそうな声を逃さないように、この目に君を映す。
整った君の横顔は、花火色に輝く。
「そのまんまの意味。ハナは俺にとって、とくべつな存在」
花火なんかよりも美しい。
見ていられなくて、目を閉じた。
大きな音が、耳の奥まで届く。
「好き」
花火の音でかき消されてほしいから、
声にならないくらい、
私にも聞こえないくらい、
小さく小さく、呟いた。
爆発音はついにクライマックスを迎え、
今日いちばんの轟きとなって。
君に届いてほしくない音を、
ちゃんとかき消したようだった。