しかくかんけい!
ただハナが、好きなだけなのに。
こんなに心が乱れるなんて。
じっとしていられなくなり、体を起こして立ち上がる。
カラカラ、と窓を開けると、もわっとした空気が顔にまとわりつく。
にじんでいた汗がさらに噴き出した。
「風呂入ろ」
誰もいない部屋でそう呟いて、窓を閉めて、風呂場へ向かった。
「あら、帰ってたの」
途中、廊下で出くわした母親が言う。
無視して通り過ぎようとしたが、はあ、と背後からわざとらしい大きなため息が聞こえた。
「こんな時間までほっつき歩いて。ちゃんと勉強しなさいよ、もうすぐ模試なんでしょ」
話したくもない相手に素っ気なく返事をし、乱暴に風呂の扉を閉めた。