しかくかんけい!




しんと静まり返った部屋。

どれだけ時間が経ったのだろう。


時計を見ると、日付が変わろうとしていた。


開けっぱなしの窓から熱気が容赦なく入り、室内の温度はかなり上昇している。


「暑い……」


戸締まりをしてエアコンをつける。


そうだ。

部屋が涼しくなるまで、少し散歩でもしようかな。


腫れた目のままではよく眠れないし、とにかく気を紛らわしたい。


部屋を出ると家の中は静かで、家族はもう眠っているみたい。

音を立てないようにそっと玄関まで行き、サンダルを履く。


汗のにじむ浴衣のまま、

夜の街へ飛び出した。



しばらく何も考えずにただ歩いていると、いつのまにか明るい繁華街にたどり着いていた。


ガヤガヤとした騒がしい街並み。

提灯が揺れ、ネオンが眩しく、すれ違う人々からはつんと鼻を突くアルコールの匂い。




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