しかくかんけい!
この地面に散乱した男たちが、今にも起き上がろうとしていた。
「浴衣シワになるけど我慢して」
しょーくんがそう言って、私の丸出しの脚を隠すように浴衣の裾を引っ張った。
ゆらりと車体が揺れ、思わず前の腰に捕まる。
大きなエンジン音と共に風を切り、
騒がしい繁華街を駆け抜けていった。
「大丈夫?痛いところは?あのクソ野郎どもに何かされた?」
「大丈夫、何もされてないわ」
しょーくんと私は、公園のベンチで並んで座っていた。
「ならよかった。無事で何より」
はーっと安心したようなため息をつき、背もたれへ体を預ける彼。
途端に私は申し訳なくなる。
「ごめんなさい、迷惑かけちゃって」
ペコリとお辞儀すると、しょーくんはこちらを見て焦る。
「いや、愛莉は被害者でしょ。まあ一人であんなとこ歩いてんのは悪いけど、誰だってそういう気分のときもあるし」
私の腫れた目に気づいているらしい彼は、気を遣っているのかあまり目を合わせてくれない。