しかくかんけい!
将来不自由なく生きていくためには、安定した仕事について、安定した収入を得なければならない。
それはわかってるんだ。
だから俺は、敷かれたレールに沿って、ただただ歩くことしかできない。
本当に叶えたかった夢はもう、幼い頃に捨てておいた。
それなのに。
放課後の教室。
普段はすぐに誰もいなくなる教室だが、今日は数名の生徒が残っている。
6時間目の授業は進路学習だった。
そこで配られた進路調査票が、俺たちを帰してくれない原因。
第一希望がまだ決まっていない人は、興味のある大学でも職業でも何でもいいから、将来のことについて1つ調べて、書き上げないといけない。
俺は肘をつき、ぼーっと白紙を眺めていた。
別に、書けないわけではない。
模試のときに第一希望にした大学の名前を書けば、それでおしまいなのだけど。
心に引っかかる何かが、俺の手を止めていた。
ふと顔を上げると、まだ残っていたハナと視線がぶつかる。