しかくかんけい!
「う、ん、一応……」
歯切れの悪い返事とは裏腹に、
すごーい!と声を上げて目を輝かすから、ポリポリと頭を掻いてしまう。
「何か、迷ってるの?」
愛莉がすっとしゃがみ込んだと思ったら、ちょんと机に小さな顔を乗せる。
上目遣いでこちらを伺う愛莉は、少し、色っぽい。
思わずじっと見つめる。
「……」
「そら?」
長いまつげが影を作り、その奥に秘めている潤った瞳。
今にも吸い込まれそうで、綺麗だ。
でも、なんか。
……なんか、らしくないな。
「そーらくん!」
ハナの声で、はっと我に返る。
「大丈夫?今絶対なんか考えごとしてたよね!」
愛莉のこと見つめちゃってさあ〜、とニヤニヤして茶化すハナ。
その愛莉は、心配そうに、だけど甘い瞳でこちらを見つめている。
とろけるような眼差しは、今にも呑み込まれそうで。
耐えきれなくて、すぐに視線を外す。
「……大丈夫」
俺は荷物を持って立ち上がり、ちょっと先生と相談してくる、と言って教室をあとにした。