しかくかんけい!
模試の結果用紙を取り出し、バン、と荒く机へ置いた。
そんな俺を横目に用紙を手に取った母親は、ふう、とわざとらしく安心する素振りを見せる。
「この大学ならもう将来が約束されているものよ。ま、A判定だからって油断しないで、ちゃんと勉強しなさいね」
将来が約束されている、か。
そんな見え透いた人生の良さが、いまいちわからない。
「そらもお父さんみたいにしっかりした会社に就けるよう頑張るのよ」
何度聞いたかわからないその文言。
はい、と紙を俺に返し、ベランダへと消えていく母親。
俺の父親は、大手企業の社員。
残業やら出張やらでほとんど家にいない。
物心ついたときからそんな感じだから、父親は家にいないのが当たり前だと思っていた。
そんな父親のようになれ、と。
毎朝決まった時間に出社し、同じ人間にへりくだって情けなくペコペコして、夜遅くまで仕事に追われて帰ってくる日々。
本当にやりたいことなんて、そこには1ミリもないのに。