しかくかんけい!


つまらない人生、か……。


考えだしたら止まらない性格のせいで、目の前の課題に全然集中できない。

進路のことで頭がいっぱいになっていた。



そうだ。

こんなときは久しぶりに、あそこへ行ってみようか。


そう思って部屋をあとにした。

サラサラと木々が音を立て、川のせせらぎが絶え間なく聞こえる。


「はあ……」


静かにため息をついた。

最近、口癖のようにため息が出る。



桜並木はすっかり緑一色で、まるでもう夏は真っ盛りだと訴えているよう。


昔からよくこの河川敷に訪れては、穏やかなひと時を過ごしていた。

今は寝そべって、茜色から徐々に紺色へとグラデーションになる空を眺めている。


もうすぐ日が暮れるようだ。


サク、という芝生を踏む音がして、誰かが近くに来たのを察する。

見ると、同じ高校の女子制服が視界に入った。


「やっぱりそらだ」


サラサラの長い髪が揺れ、隣に腰を下ろす。


「愛莉……」


カバンを持っているから、ちょうど家へ帰る途中だったらしい。



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