しかくかんけい!
「素敵だと思うわ」
「そう、かな」
「うん」
そう言って愛莉は起き上がり、カバンの中をゴソゴソし始める。
髪に絡まっていた雑草がひらりと音を立てずに落ちる。
「見て、覚えてる?」
振り返った愛莉の手には、小さく折りたたまれた画用紙のようなものがあった。
受け取って開いてみる。
「これ……」
昔の記憶が、蘇る────……
……────小学校へ入学する直前。
季節は春だった。
桜に囲まれたこの河川敷で、初めて俺たちは出会った。
「ねえ、何描いてるの?」
春風とともに現れたその少女は、俺の持っていたスケッチブックを指差していた。
空だよ、と言ったら、不思議そうに首を傾げてこちらへ身を乗り出す。
そして、わあ、と感嘆した。
「綺麗な夕焼け空だね」
そう言って、あまりにも目を輝かせるから。
俺は半分無意識に口を開いていた。